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  3. 第15回「自然な形での死の過程を経ていくと、その人がエネルギー体になっているというか、肉体よりも違うところに入っているような、そんな感じがしてきます。」

第15回
病院でのターミナルケアと在宅のターミナルケアとは違ってきますか?
病院でもご家族が最後駆けつけて看取りをする、亡くなられたのを確認する行為は同じなんですが、その場に流れてくる、なんとも言えない感覚が違います。感覚という言葉しか思いつかないんですが、ご自宅のターミナルの場合の感覚は温かいんですよね。家族がじっくりとご本人さんが亡くなっていくということを受けとめてお別れが出来るので、涙は流されるんですが『この人生よく終えましたね、お祖母ちゃん』という温かさがあります。といっても、病院は冷たい、ということではないんですが・・・。
想像すると聞こえてくる音が違いますよね。病院のガチャガチャという金属音ではなく、ご自宅だったら料理をする音があり、家族の音があり、そしてお味噌汁の匂いがあり・・・。そういった生活の音や香りがありますよね。
そうですよね、そういった生活の音の中にいるということは患者さんにとっては安心できることですね。猫がいたり、犬がいたり、好きなモノに囲まれて・・・。
人肌があるところ、肌感覚があるなかで亡くなるわけですから全然違いますよね。
コレという具体的なことは言えないんですが、感覚的に言えば、ご自宅での看取りはご家族皆さんが納得して死を受け入れ、かつ送り出すという感覚がある。片や病院では、死を受けとめることで一杯一杯になっている・・・。その差はあるかなと思います。

ご自宅で看取るために、事前にご家族には、人はどのように亡くなっていくか、その説明をしっかり行っています。例えば下顎(かがく)呼吸とか。呼吸状態が悪くなっていけば周りはとても不安になります。苦しそうだと。でもそうじゃないんだということが分かっていれば安心できます。
ご家族にはどのように死に至る過程を説明されているんですか?
エリザベス・キューブラー・ロス博士やデニー・コープさんの本を活用して説明書を作りました。

末期になると食欲がなくなっていく。それは何故かというと、身体にエネルギーが必要ではなっていくから食べるものも少なくなっていく、それは自然なことですよ。呼吸の変化も、こういうふうにゆっくりと呼吸が変わっていきますよ。また呼びかけにも反応がなくなっていきますが、それは反応するエネルギーがだんだん小さくなってきているからなので、意識が全くないということではないですよ、ちゃんと聞こえていますよ。だから呼びかけてほしいし、好きな音楽はかけてあげて下さい。最期、うなり声とかうめき声が出たり、溜まった痰が喉でゼーゼーと音をたてたりするけれど、すごく苦しいというわけではないので大丈夫ですよ。そんなことを説明しています。
周りには苦しそうに見えますものね。
公開講座などでも「先生、本当に苦しくないんですか?」と聞かれることがあります。私も死んだことがないので100%とは言い切れませんが・・・。
人間の身体のシステムとして、人生の最期はそれほど苦しみを感じないよう作られているのかもしれませんしね。
名古屋の医師で、もうお亡くなりになったんですが本を書かれている先生がいらっしゃいます。ご自身が脳梗塞と心筋梗塞に罹って死の淵に到達したような時に、スーっと意識が消えていき、ものすごく気持ち良かった。そういう経験をもとに調べていくと、戦時中に弾にあたったときに『あ~、と解放された感じがあった』と言っている方がいる。海外で死について研究をされている方の本を読んでみると、死に際しては非常に暖かく安らかで何の苦しみもなかった、そんな経験を持って生還された人がいる。それを読んで『あ、俺はこれを経験したんだ。そうに違いない』と、周りから見て苦しそうだと思われていても、あの感覚やとても安らかで穏やかで苦しみはない。そういうことを書いていらっしゃいます。

日本の有名な文豪の方々が、たとえば吐血をして生死を彷徨った経験をしたことを文章に残しているそうなんですね。なんと心地のよい状態だったであろうか、これが続けばという思いもあったということを書き記しています。
本人が心地良い経験しているとき、そばにいる人には苦しそうに見えた、ということですか?
そうですね。あと吐血もすごい状況ですよね。そんなときでも本人は気持ちが良かった、吸い込まれていくような感じがあった。そういう本を最近読みました。
事前にご家族の方に知識があるととても安心されますよね。
そうですね。その時期が近くなったら、私や在宅看護の看護師さんが「いま、こういう状態ですよ、呼吸はこうですよ」とご説明します。ご家族から「ほとんど何も食べていないのに、今日はこんなにウンチが出ました。3回も出たんです」っていうときには「身体がもういらないものを出しているからなんですよ、お腹の中を空っぽにしているんですよ」と。そういったことをご説明しています。
自然な死の過程のなかには『お腹の中のものを排泄する』という過程が含まれているんですね。
出てきますね。食べていないのに、大量の排泄がある。
私の母は、亡くなる前の8か月間は何も飲み込むことができなくなったので、ずっと点滴だけだったんですが、最初、凄かったようです、便の量が。何も食べてないのに何でこんなに便がでるんだと本人がとても驚いていました。その後8か月間生きましたが。
そうやって自分の身体の中をクレンジングしていくんですね。自分の身体をきれいにしたあと亡くなっていく。そんなシステムがあるんだなと思います。
素晴らしいですね、身体のシステムは。そうやって少しずつ少しずつ身体の中のスイッチをOFFにしていくんでしょうね。
そうですね、そんなことをご説明するための冊子をうちのクリニックでは作りました。これはご家族からお手紙をいただいたことがキッカケで作りました。これをもとに、不安感から安心感に切り替えていただくようにしています。
ご家族にも力強いサポートになりますよね。そんなお話はご本人にもされるんですか? 今身体はこの段階ですよと。
それはとても難しいところがあります。いろいろ話をしながら信頼関係を作っていくなかで、こうだね、ああだねと少しずつ話をするという感じでしょうか。

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