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  3. 第16回「臓器や組織、細胞、ウィルスからのメッセージを通訳してお伝えする」というのが、私の診療の特色といえるでしょうか。

第16回
ところで、山本先生はいま福島県玉川村でNPO法人を立ち上げて様々な活動をされておられますよね。その話をお伺いしたいのですが。バイオダイナミック農法※7を行う農場のほか、クリニックや児童養護施設などがあるアントロポゾフィーのコミュニティを作られているとか?

※7 バイオダイナミック農法……人智学の創始者であるルドルフ·シュタイナーが提唱。地球と植物の一日のリズムや、天体(太陽、月、星)の運行リズムに合わせて、種まきや収穫の最良のタイミングを決定するという究極の有機農法。大地の感受性を高めるため、粉末状にした水晶などの鉱物や植物、牛糞などを混ぜて作る「調合剤」を使うのも特徴。
ええ、震災をきっかけに、放射能対策にバイオダイナミック農法をはじめアントロポゾフィーの考え方を導入するのが大切だと考え、バイオダイナミック農法の講座を須賀川市のシュタイナー教育を取り入れた保育園で始めたのがきっかけです。地元の農業者が熱心に勉強してくださり、九州や北海道のバイオダイナミック農法家の援助もあって、農場が少しずつできてきました。また子育て中のお母さんたちや福島県内の方々の医療相談も地道に続けています。

特定非営利活動法人マグノリアの灯HP

また、児童養護施設※8を作りたいという方の夢をサポートするために協力してきましたが、昨年無事オープンし、現在子どもたちが躍動しています。また、NPO法人の名前にもなったマグノリアは、モクレン科の総称です。私にとっては木蓮が母なる木ですが、子どもたちを診る心理療法棟の名前が「木蓮庵」と名付けられていて、同じモクレン科のコブシやホウノキが周囲を取り囲んでいます。

この児童養護施設の建築を担当したのは、神之木クリニックを建ててくれた尾竹一男さんですが、横浜で建築の依頼を初めてしたその日のうちに、驚くことにまだ見てもいない土地の図面や建物のあるべき配置をその日のうちに描いてくれたんです。それが、池や畑などがほぼ現地の地形と一致していました。おそらくそこには、そうなるべき「雛型」があって、あとはそれを人間がどう気づき、活かしていくかが鍵なんだなと思いました。実際そんなストーリーが似合う場所なんです。

※8 児童養護施設「森の風学園」……福島県石川郡玉川村に2014年12月オープン。社会福祉法人「ゆめみの里」が運営(理事長:熊田冨美子さん)。
社会福祉法人 ゆめみの里、児童養護施設 森の風学園HP
なるほど。「木蓮庵」で行われる講演会には一般も入れるということですから、機会があれば是非伺ってみたいですね。(このインタビュー後、2015年5月10日木蓮庵で行われた“母の日に贈るマグノリアの灯特別講座”に光田も参加してきました!)

最後に、これからの抱負をお聞かせいただけますか?
はい。私には子どもがいないのですが、2つの法人を世に送り出すことができました。医療法人ひもろぎ会神之木クリニック(ひもろぎは神様の木の意味)は、今年20歳になります。これからも地域医療や学びの場としての使命を果たしていきたいと思っています。もう一つの、NPO法人マグノリアの灯はまだ2歳ですが、しっかりと育てていきたいと思います。そして、3番目4番目の法人をつくったりサポートできればと思っています。菜央子さんがこれからつくろうとしている施設がありますよね。その夢の実現に何らかのお手伝いができればと考えています。
わー、ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願い致します。
医療法人のクリニックは、個人に対する医療ですが、NPO法人の活動は社会に対する医療です。今後の活動として、玉川村から15kmほど西の鏡石町というところに、バイオダイナミック農法の体験ができる市民農園を計画しています。また南会津にはワタスゲの湿原あって、その地下に泥炭が産出されます。この泥炭を素材にしたソーラムオイルは、チェルノブイリの放射能事故の際に、多くの人の健康回復に役立った実績があり、震災直後、ドイツの医師たちがソーラムオイルをつくっている製薬会社の協力のもと、日本に大量に送ってくださった経緯があります。

世界一肥沃な土壌は腐植含量の高いチェルノーゼムという土なのだそうですが、世界中で数箇所しかなく、名前のとおりチェルノブイリに多いとのこと。腐植は放射性物質を吸着するため、チェルノブイリで事故が起きたことも偶然ではないでしょう。そう考えると、福島に予め泥炭が用意されていたことも天の意図を感じることができます。この夏、南会津のワタスゲや、泥炭を多く産出する北海道で泥炭の声に耳を澄ます旅を始めようと計画しています。皆さんの協力を得て、いずれ日本でもソーラムオイルをつくれるようにしたいと思っています。

山や川や海、大地は、そこにずっと以前からあったわけですが、放射能事故が起きる前から、そして今も未来も、人間を見放さずに、力を貸してくれているということを感じています。そうした自然や宇宙からの力をしっかりと受け止め、地上的なものと繋いでいく作業をしていきたいと思っています。それが今、私の目指していることですね。
ぜひそうした計画が実現しますように応援しています。それから今度もし体調不良になったら(笑)、神之木クリニックにも診察していただきに伺います。

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